第5回 泣くのは悪くない!涙の役割とその効果とは?
- 内山克浩
- 2024年12月30日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
感情が抑えられず、場に相応しくないタイミングで涙が出てしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
このような現象は、脳の働きが深く関係していることがわかっています。

研究によると、悲しみを感じたときに活性化する脳の部位は「前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)」と呼ばれる部分です。
この部位は、身体的な痛みを感じるときにも動くことから、感情の痛みと身体の痛みは、脳にとっては同じものとして認識されています。
たとえば、大切な人を失った悲しみや辛い別れの記憶が、身体の傷と同じように「痛み」として脳に刻まれているイメージです。
感情の痛みが特にわかりやすいのが、ドラマや映画の恋人同士の再会のシーンです。
長い時間離れ離れになっていた恋人同士が再会する場面を思い浮かべてみてください。
視聴者は画面を通して、恋人同士が経験した孤独や寂しさを感じ取り、それが「痛み」として心に響くのです。
この痛みが強まると、理性を司る「前頭前野」の働きが一時的に弱まり、喜びや切なさが抑えきれず涙が溢れ、感情が解放されることで愛情が一層深まるのです。
感情の高ぶりをうまくコントロールする方法がいくつかあります。
ポイントは、前頭前野を活性化させ、理性のブレーキを強めることです。
たとえば「深呼吸」が効果的な方法の一つです。脳に十分な酸素を送り込むことで前頭前野の働きが高まり、感情を落ち着かせる効果があります。
プレゼンテーション前に深呼吸をして緊張を和らげた経験をした方も多いのではないでしょうか。
また、「ラベンダーやコーヒーの香り」も効果的です。アロマを使って自宅でリラックスするのは、この仕組みに基づいた方法です。
一方で、「泣いてはいけない」と自分に言い聞かせるのは逆効果です。
脳は、禁止されることを嫌う特性があり、「泣くな」と意識するほど泣きたくなってしまいます。
「絶対に失敗できない」と思い詰めた結果、逆にミスが増えたという経験があると思います。
このようなときは、「泣いてもいい」「失敗しても大丈夫」と自分に許可を与えるほうが、かえって感情を抑えやすくなります。
泣くことは決して悪いことではありません。
涙には、ストレスホルモンの一つである「コルチゾール」が含まれており、涙を流すことでストレスが解消され、気持ちがすっきりする効果があります。
きっと皆さんも思いっきり泣いた後、気持ちが軽くなったと感じたことがあるのではないでしょうか?
感情を抑えたい場面では、深呼吸や香りを使って前頭前野を活性化させたり、時には思いっきり沢山の涙を流することを試してみてください。




