第52回 心の支えになる人間関係の築き方
- 内山克浩
- 11月24日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
私たちは、なぜ他者とのつながりを求め、時に人間関係に悩むのでしょうか。
その答えは、人間が根本的に社会的動物であることにあります。

私たちの脳が、自分が集団からのけ者にされているかどうかを極めて敏感に察知する仕組みを持っているためです。
私たちの脳は、目や耳から入る「感覚的な情報」は共有されにくい性質を持っています。
同じ景色を見てもその見え方は十人十色。同じ音楽を聴いてもその聞こえ方は異なります。
ところが「感情」というものは瞬時に伝わる性質を持っています。
スポーツ観戦で日本代表がゴールを決めた瞬間、その興奮と歓喜は一瞬にして観客席全体を駆け巡ります。
職場でも、誰かのイライラや不安は言葉にしなくても周囲に伝わってしまうものです。
感覚的な情報や思考内容は伝わりにくいのに対し、感情は脳という個人の境界を超えて瞬時に共有されます。
では、同じ感情を共有すれば、お互いに優しくなれるかというと、それほど単純な図式ではありません。
しかし、人間の優しさの根底には「共感回路」という脳の機能がベースになっていることは分かっています。
もし人の気持ちがわからない人が増えているとしたら、また優しさが失われつつあるとしたら、それは共感回路の機能が低下していることが原因かもしれません。
そもそも、人間関係を築く上で重要なのは、お互いにとって肯定的な質の高い人間関係です。
私たちは多くの人とつながろうとしがちですが、実は数が多すぎると脳が処理しきれなくなってしまいます。
大切なのは、腹を割って話せる親しい人がいるということです。
量より質を重視した人間関係こそが、私たちの心の支えとなります。
また、健康で充実した生活を送るためには「意欲」と「感動」が重要な鍵となります。
意欲に満ち溢れていれば、体は自然と元気になり、免疫力も高まるでしょう。
また、感動によって人生が豊かになるかどうかは、周囲の環境が大切です。
何かに感動したとき、周りの人たちがそれを素晴らしいことだと認めるか、それともくだらないと否定するかで、脳の働きは全く変わってきます。
社会的動物である人間は、周囲に受け入れられたいという欲求があるため、どんな小さな感動でも誰かと共有することが重要なのです。
人を思う優しさは後天的に身につけるものではなく、すべての人間の脳に生まれつき組み込まれている能力です。
豊かな人間関係を築くには、この本来持っている能力を大切に育んでいくことが求められているのです。




