第51回 なぜ恵まれても不満?幸福のメカニズムを解き明かす
- 内山克浩
- 11月17日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
30代、40代、50代と年齢を重ねるにつれ、仕事や家庭の責任が増し、なかなか「幸せ」を実感する機会が少なくなっていると感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、脳科学の研究によると、私たちの脳は「幸せを感じやすい状態」に整えることができるということが分かっています。
つまり、周囲の環境を少し変えることで「脳内の環境」を改善し、幸福度を高めることが可能なのです。
この幸福感を左右する重要な要素が、「セロトニン」と「オキシトシン」という2種類の幸福ホルモンです。
これらの分泌量を意識的に増やすことで、日々の生活をより充実したものにできます。
まず、セロトニンの分泌を促進する方法として、朝型生活への転換が効果的です。
朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、自然とセロトニンの分泌が活発になります。
また、朝と夕方に30分程度のリズム運動(ジョギング、サイクリング、水泳など)を取り入れることも有効です。
忙しい方でも、1日のうち何度か5分程度の腹式呼吸を意識するだけで効果が期待できます。
ヨガや気功、座禅なども同様の効果があります。

一方、オキシトシンの分泌には人とのつながりが重要です。
家族との団らん時間を大切にし、パートナーとの触れ合いを意識的に増やしましょう。
感情を素直に表現し、他人への親切を心がけることも効果的です。
ペットを飼っている方は、ペットとの触れ合いも立派なオキシトシン分泌の機会になります。
興味深いことに、他人の結婚式に参列して幸せを感じるだけでも、オキシトシンの分泌は約15%上昇することが分かっています。
これは、人の幸せを共有することの大切さを科学的に証明しています。
現代社会において注意すべき点は、SNSとの付き合い方です。
FacebookなどのSNSに時間を使うほど幸福感が減少する一方、「リアル」に人と会う時間を増やすほど幸福感が増していくという研究結果があります。
私たちはSNSによって社交的になったと錯覚しがちですが、現実の人間関係の代替にはならないのが実情です。
幸福学では、幸せの4因子として「①やってみよう(挑戦する心)」「②ありがとう(感謝の気持ち)」「③なんとかなる(楽観的思考)」「④ありのまま(自分らしさ)」が提唱されています。
反対に、幸せを阻害する感情として「罪悪感」「狼狽」「羞恥心」「他人へのひがみ」の4つが挙げられます。これらの感情は、他人の意見や期待に過度に左右されることで生まれがちです。
特に狼狽は、自分がどう思うかより他人にどう思われるかを重視しすぎる時に生まれます。
「恵まれているのになぜ満足できないのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。
実は、自然は人間に長期的な幸福感を与えるようには設計されていません。
一時的な幸せだけを与え、私たちが継続的に行動を起こすよう促すメカニズムになっているのです。
だからこそ、意識的に幸福度を高める取り組みが重要なのです。




