第44回 働き盛りのための最強の睡眠戦略①
- 内山克浩
- 9月29日
- 読了時間: 2分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
私たちの生活に欠かせない睡眠ですが、多くの人が抱く誤解があります。
それは、睡眠がエネルギーを蓄えるための休息時間ではないという事実です。
実際、眠っている間も脳は起きている時と同じ程度のエネルギーを消費し続けています。

では、なぜ私たちには睡眠が必要なのでしょうか。
答えは、昼間に生成された「老廃物等の除去」と「記憶の整理」にあります。
睡眠中、特に熟睡時には、昼間の活動で生じた老廃物や、損傷したタンパク質が取り除かれます。
これらの老廃物等は、驚くことに1日で何グラムにもなり、1年経つと脳と同じくらいの量になります。
こうした「ゴミ」が夜ごと着実に巡回清掃されて、脳は健康を維持しています。
また、睡眠は記憶を整理し、特に深い眠りの間に行われる短期記憶から長期記憶への移行は、睡眠にしかできない重要な機能です。
睡眠不足は、脳にも深刻な影響を与えます。
睡眠が不足すると、怒りや衝動を司る扁桃体が過剰に活性化する一方で、それを抑制する前頭前野の機能が低下します。
これにより、職場でのパワハラ、セクハラ、不祥事といったモラル崩壊につながるリスクが高まります。
理想的な睡眠時間は年齢とともに変化し、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と徐々に短くなっていきます。
また、冬季は夏季に比べて10分から40分ほど長めの睡眠が必要だと言われています。
必要な睡眠時間を確保することはもちろん重要ですが、睡眠によって十分な休養がとれている感覚(睡眠休養感)を高めることも同様に重要です。
さらに、良質な睡眠を確保することは、年齢とともにますます重要になります。
研究によれば、70歳以降に認知症となるリスクは、睡眠時間が平均7時間以上の人に比べると、6時間以下では約1.2~1.4倍、4時間以下では約3倍に増加するとされ、この傾向は50歳や60歳でも同様です。
睡眠の質が落ちると、2週間にわたり6時間以下の睡眠が続いただけで、まるで2晩徹夜したような認知機能障害が生じることがあります。
これが慢性化すると、集中力の低下や情緒の不安定さを引き起こします。
多くの人が平日の睡眠不足を休日に取り戻そうとしますが、これは実際には「社会的時差ボケ」を引き起こし、肥満や糖尿病、うつ病など、様々な健康リスクを高める可能性があります。
したがって、毎晩適切な睡眠時間を確保しつつ、睡眠休養感を高めることを心がけ、良質な睡眠を確保しましょう。




