第30回 心の状態を司る神経伝達物質①
- 内山克浩
- 6月23日
- 読了時間: 2分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
私たち人間の感情や心の状態は、実は脳内で日々繰り広げられる化学物質のバランスによって大きく影響を受けています。

脳には約860億個もの神経細胞があり、これらは物理的に接触しているわけではなく、わずかな隙間を通じて情報をやり取りしています。
その橋渡し役を担うのが神経伝達物質です。
締め切り前の仕事で心臓がバクバクしたのは「アドレナリン」のせいかもしれません。
このホルモンは危機的状況で分泌され、闘うか逃げるかの判断を瞬時に行わせる役目を果たします。
同じ緊張系の「ノルアドレナリン」は集中力を高めてくれますが、過剰になると不必要な攻撃性を引き起こすこともあります。
長期的なストレスで分泌される「コルチゾール」も心身に様々な影響を及ぼします。
一方で、久しぶりに会った友人と語り合ったときの心地よさは「セロトニン」や「オキシトシン」のおかげでしょう。
「セロトニン」は感情の安定剤とも言われ、これが不足すると気持ちの波が激しくなります。
「オキシトシン」は人との触れ合いや信頼関係を通じて分泌され、実際に家族や親しい人と過ごす時間が心を穏やかにするのはこのためです。
「ドーパミン」は達成感や喜びに関わる物質で、目標を達成したときの快感や新しいことに挑戦する意欲を生み出します。
以前、趣味の競技で自己ベストを更新したときの高揚感は、まさにこのドーパミンの作用だったと思います。ただし、過剰になると依存症の原因にもなりえます。
睡眠と覚醒のリズムを整える「メラトニン」も重要です。
パソコンやスマホの光で夜更かしすると、このメラトニンの分泌が抑えられて睡眠の質が低下します。
私自身、就寝前の読書に切り替えてから明らかに眠りが深くなりました。
「アセチルコリン」は記憶や学習に関わり、「βエンドルフィン」は痛みを和らげる天然の鎮痛剤として働きます。
美味しい食事を楽しむときの幸福感も、これらの物質が関与しているのです。
こうした脳内物質の働きを知ることで、日々の感情の起伏にも「なるほど、これは○○のせいか」と理解を深められます。
そして、適度な運動や良質な睡眠、人との温かい交流など、これらの物質のバランスを整える生活習慣を意識することで、より安定した心の状態を保てるようになるのではないでしょうか。




