第22回 自分自身を知る第一歩 「脳の成長過程⑤」
- 内山克浩
- 4月28日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
今回は脳の成長過程において、5歳頃を中心にお伝えいたします。
幼少期、特に5歳までの環境は、大人になっての対人関係や社会的なスキルに大きな影響を及ぼすことがわかっています。
この時期に培われるコミュニケーション能力や協調性は、社会生活を円滑に送るための基盤を形成します。
特に、「我慢」を学ぶ経験がその後の人生に与える影響は大きく、具体的な実験結果からも明らかになっています。
4〜5歳の子どもたちを対象にした「マシュマロ実験」は有名です。
目の前のマシュマロを15分間我慢すれば、もう一つもらえるというシンプルな実験で、約6割の子どもたちは耐えられず食べてしまいました。
しかし、我慢できた約4割の子どもたちに対するその後の追跡調査によると、彼らの大学入試の平均点は我慢できなかった子どもたちよりも約210点高かったのです。
さらに、60人を40年後に追跡し脳活動を調べた結果、幼少期に我慢できた人は、大人になっても誘惑に簡単になびかないことも分かりました。
彼らはどのようにして誘惑に打ち勝ったのでしょうか?
実験中の子どもたちの様子を観察すると、「歌を歌う」「一人でゲームをする」「目を閉じる」など、目の前のマシュマロから意識をそらす工夫をしていたのです。
つまり、幼いながらに、自分の感情をコントロールし、目標達成のために別の行動を選択する能力を身につけていたと言えるでしょう。
また、5歳は脳の発達が著しい時期ですが、特に言語系の脳はまだ発達途上です。

そのため、子どもに対しては言葉だけでなく、絵などの視覚的な要素を用いた説明がより効果的です。
したがって、この年齢の子どもには、言葉で細かく説明するよりも、絵などを使って視覚的に訴える方が理解しやすいでしょう。
しかし、成長期の子どもの多くは、「自分に何ができるか」よりも「何ができないか」という否定的な言葉を耳にすることが多いのが現実です。
平均的な5歳児の場合、親が「いいわよ」と肯定的な言葉かけをする回数は、12回のうちたったの1回、残りの11回は「ダメ」と否定されることが多いそうです。
小さな頃から可能性を狭めるような言葉ばかりを聞いて育った子どもが、大人になって成功を掴むのは容易ではありません。
大人でも、目標に向かって努力しているとき、「できない理由」を意識させられることが多々あります。
そんなとき、周囲の人からのポジティブな声掛けやフィードバックは大切であり、励みになりますよね。
5歳児に対する言葉かけも一緒です。
親ができることは、彼らの可能性を信じ、肯定的な言葉をかけ、失敗を恐れずに挑戦できる環境を提供することです。
そのような環境は、子どもたちの可能性を引き出して、未来を拓きより豊かな人生を送るための基盤となるでしょう。
次回は、7歳から40歳を過ぎるまでの脳についてお伝えします。




