第19回 自分自身を知る第一歩 「脳の成長過程②」
- 内山克浩
- 4月7日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
今回は生まれた赤ちゃんの脳についてお伝えします。
まず、私たち人間は、他の動物と比較して身体が未熟な状態で生まれてきます。
例えば、他の動物は生まれた直後から自分で歩くことも、母親の乳を探すこともできますが、人間の赤ちゃんは自力ではできません。
歩き始めるまでに約一年を要し、授乳は母親が口元まで乳を運んでやらなければなりません。

このように、そもそも人間は他者のサポートを強く求める存在として生まれてくるのです。
脳もまた未発達であり、生まれたばかりの赤ちゃんの脳にはまだ何の知識も経験も入っていません。
しかし、赤ちゃんは生まれたときから自分と他者を認識する能力を持っていることが研究で明らかになっています。
特に人間の顔に対して強い興味を示すことが分かっており、この能力は、生き延びるために他者との関わりが不可欠であるためだと考えられています。
そのため、赤ちゃんは他者の優しさを本能的に求め、それに反応する神経回路が脳に備わっていると考えられています。
この回路を育てる上で重要な役割を担うのがミラーニューロンという神経細胞で、他者の行動を観察して模倣することで学習していきます。
例えば、親が赤ちゃんに舌を出して見せると、赤ちゃんが真似をするのはこのミラーニューロンが働くからです。
では、赤ちゃんの脳はどのように育てていけば良いのでしょうか?
脳が急速に成長するこの時期に特に重要なのは、母親からの語りかけです。
新生児期から語りかけられる言葉は、赤ちゃんの脳の発達を促し、特に幼少期にどれだけ多くの言葉に触れたかで、後の知的能力や社会的能力に大きな影響を与えることが分かっています。
また、環境も脳の発達に大きく影響します。
ADHD(注意欠陥多動性障害)は遺伝的要因が約80%と背の高さと同程度の割合ですが、胎児期や生後の生活環境も大きく影響します
例えば、妊娠中の母親の喫煙や幼少期のテレビや動画の過剰な視聴は、注意力や集中力にマイナスの影響を与え、代わりに読書や日記を書くことが推奨されています。
スマートフォンやタブレットなどは、特に1歳6カ月未満の赤ちゃんには早すぎるため、これらの使用を制限することは非常に重要です。
ところで、皆さんは0歳から3歳頃までの記憶がほとんど残らないことをご存じでしょうか。
これは、海馬(かいば)という記憶をつかさどる脳の部分が、まだ十分に機能していないためです。
一般的に私たちが1歳頃の記憶がないのも、海馬が機能していないことが理由です。
2歳頃までは、親子間の密着を重視したカンガルーケアと呼ばれる育児をお勧めします。
お父さんやお母さんが赤ちゃんと肌と肌を密着させて過ごす時間は、赤ちゃんにとって安定感や安心感を育むだけでなく、脳の発達を促す効果も期待できます。
親子の関わりを大切にしながら、愛情と適切な環境を与えてあげることで、赤ちゃんの脳は豊かな人生を歩むための準備を整えることができます。
次回は、2歳から3歳の「乳児脳」についてお伝えします。




