第15回 自分自身を知る第一歩 「脳の進化①」
- 内山克浩
- 3月10日
- 読了時間: 2分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。

私たち人間のルーツは、今から600万年から700万年ほど前に、私たちの遠い祖先がチンパンジーと共通の祖先から分かれたときまで遡ります。
想像もつかないほど遥か昔のことですが、この分岐がなければ今の私たちは存在しないのです。
また、200万年前には「氏族社会」が形成されて、人間社会の基盤が築かれました。
700万年前に別れたチンパンジーは、私たちに比べて前頭前野(ぜんとうぜんや)は約6分の1しかなく、せいぜい半日から1日先のことまでしか考えられないと言われています。
一方、私たちが複雑な社会を築き、高度な文明を創造してきた事実は、私たちの脳がチンパンジーとは異なる進化を遂げてきた証です。
しかし、進化の過程で獲得した能力が、必ずしも現代社会で役立つとは限りません。
私たちの祖先の99.9%は、食べ物や安全、未来に対する保障がなかった時代を生き抜いてきました。
今のような安定した環境は存在せず、私たちの脳は常に安全を求め、不安を感じ続けてきたのです。
常に飢えや危険と隣り合わせの生活を送り続け、現代の豊かな環境は進化の過程から見ればごく最近のことです。
私たちの体は、まだ安定した環境に適応しきれていないのです。
例えば、仕事でプレゼンテーションを控えているとき、私たちはつい不安を感じてしまいます。
「失敗したらどうしよう」「うまく伝えられるだろうか」と、脳は無意識のうちに危険を探し続けているのです。
これは、かつて野生で暮らしていた私たちの祖先が、常に外敵や飢えに備えていた本能の名残だと考えられます。
また、日常の仕事で達成感を味わいながらも、漠然とした不安を抱えることはありませんか?
「何か他にやるべきことがあるのでは?」「このままでいいのか?」と、つい考えてしまうのも、常に変化を求め、より良い状況を模索しようとする、根源的な生存本能に由来しているのかもしれません。
安定した環境の現代では、もうそのようなことを考える必要はないはずなのですが...。
人間のルーツという視点から見れば、私たちの行動や思考は、過去の歴史と深く結びついていることがわかります。
不安や焦り、現状への不満は、私たちが生き延びるために、進化の過程で獲得した本能なのです。
そう考えると、そんな自分を少しだけ許せるような気がしませんか。




