第60回 注目バイアスで真の貢献者を見逃していませんか?
- 内山克浩
- 2024年11月25日
- 読了時間: 3分
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
左利きと右利きでは、脳の使う部分に違いがあることは確かですが、一般的に言われる「頭の良さ」との直接的な関連性はあまりないとされています。

左利きの人が少数派であるため、「天才肌」と感じられやすいのは、脳の「注目バイアス」によるものです。
脳は、希少性の高いものを無意識に重要視する傾向があり、これは日常的な経営判断にも影響を与える可能性があります。
経営者として、珍しい特徴を持つ人材に注目しがちですが、その背景にある「注目バイアス」を認識することが重要です。
例えば、背が高くてボールを持っている人を見ると、バスケットボール選手だと思い込んだり、白衣を着てメガネをかけた人を医者だと判断したりします。
私たちは目立つ特徴から相手の能力を安易に評価しがちです。
経営においても、表面的な特徴や一部の成果だけで人材を評価することは、本質を見誤るリスクが高まります。
真の貢献者を見極めて適切に評価することが重要です。
このように、注目バイアスによって偏った見方をしてしまうことがあるため、その影響を避けるには、感情をコントロールすることが大切です。
注目バイアスから無意識に感情が生まれるため、その感情をうまく制御できれば、冷静で客観的な判断がしやすくなります。
感情のコントロールには、利き手を使い分けることが有効だという研究結果もあります。
特に、普段使わない手で作業を行うことで、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)が鍛えられ、感情をコントロールする力が向上します。
利き手でない方の手で食事をしたり、紙に書いたりすることで、怒りが抑えられるという報告もあります。
つまり、普段と異なる手で作業を行うことにより、冷静さを保ちながら業務を効率的に進められる可能性があります。
感情のコントロールは組織運営においても重要です。
特に、管理職やリーダー層が感情を適切に制御できるかどうかは、組織全体の雰囲気や士気に大きな影響を与えます。
使う手を変えるといった小さな工夫が、感情のバランスを保つ訓練となり、感情コントロール力が向上することが期待できます。
また、利き手でない方の手を使う不便さは「逆境耐性」を育てる要因にもなります。
左利き用の道具が少なかった時代、左利きの人々は多くの困難を乗り越えてきました。
その経験は、問題解決能力や創造的な思考を育み、「頭の良さ」だけでは測れない、創造性や柔軟性を持つ貴重な人材として活躍できる要素となります。
経営者は、社員一人ひとりの特性を理解し、異なる特性を持つ社員をうまく活かすことで組織全体の生産性を向上させることができるでしょう。




