第57回 経営者は社員の健康をどう支援すべきか?
- 内山克浩
- 2024年11月4日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年11月16日
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
経営者にとって、社員の健康とパフォーマンスを高めるためには、運動の重要性を理解し、その実践を促進することが不可欠です。
私たちの脳は進化の過程で、有酸素運動を通じてストレスを予防する機能を得てきました。
先祖が狩猟や危険からの逃避など高い身体活動を行う中で、必要なときに最大限の集中力を発揮する必要があったためです。
脳は進化を通じて、最も必要なときに最大限の集中力を発揮できるように発達してきたと言えます。
この生物学的メカニズムを職場で活用することが、ストレスの軽減や生産性向上に役立つのです。
有酸素運動が脳に有益な効果をもたらすことは科学的に証明されています。
たとえば、デスクワーク中心の社員は、1日20分のウォーキングを毎日取り入れることで集中力が向上します。
これは、運動が快感ややる気をもたらす「ドーパミン」、瞬時に分析能力を高める「ノルアドレナリン」、ドーパミンやノルアドレナリンのバランスを調整する「セロトニン」といった神経伝達物質の分泌を促し、思考や感情のバランスを整える効果があるためです。

一方で、40歳前後の人が運動を怠った結果、20年後のMRI検査で脳の萎縮が確認されたという研究結果もあります。
この研究結果は、中年期の運動能力の低さと、歳をとってからの脳の萎縮の間には関係があることを示しているのです。
運動によって脳への血流が促進されることで、脳の萎縮や認知機能の低下を防ぐことができるのです。
中年期に積極的に運動することが、社員にとって将来の健康を守り、企業にとっても人材資産を保護する上で重要です。
また、世界保健機関(WHO)によると、10人に1人が不安障害を抱えていますが、運動を習慣としている人はそのリスクが少ないとされています。
仕事後にランニングを習慣化することで、ストレスが軽減され、精神的に安定するという研究結果もあります。
運動は体だけでなく心の健康にも効果があるのです。
このように、運動は集中力の向上やストレス耐性の強化に役立ちます。
運動は、スマートフォンの過剰使用による集中力の低下や睡眠不足を防ぎ、記憶力を強化する効果も期待できます。
ウォーキング、ヨガ、ランニング、筋トレなど、どの運動にも効果があり、特に心拍数を上げる運動が有効です。
社員の健康とパフォーマンスを高めるには、日常的に運動を取り入れることが重要です。
できれば、週に3回、1回45分間の運動ができる環境を整え、実践することで、職場全体の生産性向上につながるでしょう。