第54回 ダニング=グルーガー効果が社員の成長を妨げる理由とは?
- 内山克浩
- 2024年10月14日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年11月17日
社会保険労務士の内山です。
いつもありがとうございます。
職場において、経営者が意識しておくべきことの一つに、「ダニング=グルーガー効果」があります。
これは、能力が低い人ほど自信過剰になり、実際の自分の能力を過大評価するという心理的傾向を指します。

たとえば、自分の直感を過信しすぎて、過去の成功体験に固執し、失敗から学ぼうとしない社員がいます。
成功体験を強く鮮明に覚えており、逆に失敗したことはすぐに忘れ、その結果、自分のパフォーマンスを過大評価し続け、自信が高まる一方で、成長の機会を逃してしまう人がいます。
この状況を放置すると、この社員はますます自己満足に陥り、部署全体のパフォーマンスにも悪影響を与える可能性があります。
一方、人間は誰しもが「自分は平均よりも優れている」という錯覚を抱きがちです。
例えば、ある社員は、他の同僚よりも効率的に仕事をこなしていると思っているが、実際は雑多な業務に追われるあまり、重要なタスクを後回しにしてしまうことがしばしばあります。
このような自己評価の錯覚は、実際の効率性に影響を与える可能性があります。
脳科学の研究でも明らかなように、人間は自分を過大評価する傾向があり、自分は平均よりも運転が上手く、平均よりも長生きし、平均よりも健康で、平均よりも裕福な生活を送ると思い込んでいるようです。
また、悪い出来事についてはその可能性を過小評価する傾向が強いため、社員には自己評価のバイアスがあることを、経営者は認識しておくべきです。
こうした強い思い込みを取り除く方法として、自分の考えを紙に書き出し、ビリビリに破いてしまうというシンプルな方法があります。
燃やすことも一つの手段であり、思考をリセットするのに役立ちます。
これは、即効性はないかもしれませんが、時間をかけて繰り返し行うことで、少しずつ過大評価するバイアスが修正され、より現実的な視点を持つことができるようになります。
この方法は、思考をリセットするのに有効であり、社員が自己評価を見直し、現実に即した判断を行うために役立ちます。
経営者として、社員が自信過剰にならないよう、自己評価のバイアスを修正する手段を教え、成長の機会を逃さないように支援を行うことが大切です。